西川祐信

西川 祐信（にしかわ すけのぶ、寛文11年（1671年） - 寛延3年7月19日（1750年8月20日））は、江戸時代の京都の浮世絵師。

来歴

姓は藤原・西川、初名を庄七郎、俗称を宇右衛門といった。通称は福助、孫右衛門、後に右京。号を自得叟、自得斎、文華堂など。京都出身で、医術に携わる西川家の3男として生まれた。その後、成人して西園寺致季公の御家人となった。

絵は初め狩野派を狩野永納に、土佐派を土佐光祐に学んだ。さらに、菱川師宣や、吉田半兵衛の画風を取り入れ、自己の画風を築いた。柔らかみのある筆使いで落ち着きのある丸顔の女性を描き出す美人画に長け、京坂浮世絵界の第一人者となった。その活動は絵本が最も多かった。

元禄後期から八文字屋本の挿絵を描きまくり、狂言本、評判記、浮世草子と、祐信の筆によらないものがないほどであった。また『正徳雛形』（正徳3年刊行）や『西川ひな形』（享保3年刊行）などの雛形本も手がけている。特に、享保8年（1723年）に墨摺の風俗絵本『百人女郎品定』2冊（国立国会図書館、大英博物館所蔵）を出して世間から高く評価される。

これは上は皇后から下は湯女（ゆな）まであらゆる層の100人の女性風俗を生き生きと巧みに描き分けたもので、祐信の名がこの本によって京･大坂のみならず江戸にまで知れ渡った。享保年間に初めて「大和絵師西川祐信」という自負に満ちた落款を使用し、多数の好色絵本を出した。これは、唐画に対し大和絵の自立を宣言するほど、強い意識を持って作画し続けたことを示している。

代表作に『役者口三味線』、『絵本浅香山』などがある。その他、生涯に、先述の『百人女郎品定』の他、『絵本玉かづら』、『絵本常盤草』（享保16年刊行）など、100数10種300冊に及ぶ絵本を描き、上方絵、特に絵本のレベルを一挙に高めた功績は大きい。また、江戸の浮世絵版画、奥村政信、石川豊信、鈴木春信に強い影響を与えている。

しかし、上方ではこの時期、未だ一枚摺り版画は行われず、祐信による一枚物の錦絵は1枚も無い。肉筆画では「三美人図」など、はんなりとした京の品位が漂う美人を描いて極めて優れた作品を残している。享年80。墓所は京都市三条通大宮西入の妙泉寺である。法名は徳崇院清翁浄喜居士。

作品

• 「柱時計と美人図」 絹本着色 東京国立博物館所蔵
• 「婦女納涼図」 絹本着色 東京国立博物館蔵
• 「柳下腰掛美人図」 紙本着色 出光美術館所蔵
• 「詠歌美人図」 紙本着色 出光美術館所蔵
• 「納涼美人図」 絹本着色 出光美術館所蔵
• 「やぐら時計･雪の送り図」 双幅 絹本着色 浮世絵太田記念美術館所蔵
• 「見返る美人図」 紙本着色 浮世絵太田記念美術館所蔵
• 「縁先美人図」 絹本着色 浮世絵太田記念美術館所蔵
• 「乗合舟図」 絹本着色 浮世絵太田記念美術館所蔵
• 「美人図」 紙本着色 サントリー美術館所蔵
• 「柳下二美人図」 絹本着色 板橋区立美術館所蔵
• 「春の野遊図」 双幅 ニューオータニ美術館所蔵
• 「きせるを持つ遊女図」 絹本着色 砂子の里資料館所蔵
• 「美人観菊図」 絹本着色 鎌倉国宝館所蔵
• 「久米仙人図」 絹本着色 日本浮世絵博物館所蔵 狩野英信（中橋狩野家）と合作
• 「化粧美人図」 絹本着色 MOA美術館所蔵
• 「きのこ狩り図」 紙本着色 MOA美術館所蔵
• 「衣通姫図（そとおりひめず）」 絹本着色 京都府立総合資料館所蔵（京都文化博物館管理）
• 「源氏物語図（若菜上）」 絹本着色 京都府立総合資料館所蔵（京都文化博物館管理）
• 「柿本人麿図」 絹本着色 奈良県立美術館所蔵
• 「美人若衆見立高砂図」 絹本着色 奈良県立美術館所蔵
• 「大黒揚屋入り図」 絹本着色 熊本県立美術館所蔵
• 「遊女道中図」 紙本着色 熊本県立美術館所蔵
• 「宮詣図」 紙本着色 フリーア美術館所蔵 享保後期頃