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田村 水鷗(たむら すいおう、生没年不詳)は、江戸時代初期の浮世絵師。
田村水鷗は、名を節信と言い、観董、无声詩などと号した。また、俳号を千山といった。天和-正徳(1681年-1716年)期に、菱川師宣風の美人画など肉筆画を描いている。
しかし、師宣と比べると画風は温和でたおやか、きりっとした細い線で形質を丁寧に表現しており、かつ叙情的で色感豊かである。その筆法から、土佐派・住吉派を本格的に学んだ形跡が見られ、さらに師宣の影響を受けた様である。
田中達也氏が指摘している様に、「節信」の印を使用している作品では細面で師宣色が強く、「无声詩」の印を使用している作品では顔付きに丸みを帯びて、より土佐派色が色濃い。これはそれぞれの印の使用時期が異なることを意味していると考えられる。
美人画の他に若干数であるが『平家物語』から着想を得た「小督と仲国図」(浮世絵太田記念美術館所蔵)のように、故事に題材を求めたものも描いている。