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奥村 利信(おくむら としのぶ、生没年不詳)は、江戸時代初期の浮世絵師。
奥村政信の門人。奥村政信の子あるいは弟と考えられる。鶴月堂文全と号す。享保~寛延(1716年-1751年)年間にかけて活躍した、紅絵、漆絵期を代表する浮世絵師であった。
利信は、漆絵を多数描き、美人画、役者絵ともに、画風は師・政信の作品と比べると、鮮やかな配色と、伸びやかな描線に特徴があり、明快で溌剌としており、また、描写も細やかで、かつ適度な色香も加えて、見る者に心地よい爽快感を与えている。
美人画、役者絵を中心に、作画は、1730年前後の10数年に集中、短命の絵師であったと思われる。代表作として、「山下金作の大磯とら」、「瀬川菊之丞のくずのは道行」、「なつもやうむねあけ」三幅対などが挙げられる。
寛延2年(1749年)、絵本『疱瘡除』2巻を刊行している。また、黒本『高砂十帰松(たかさごとがえりのまつ)』3巻、『ふくじん』1巻、青本『作奴(だてやっこ)化物退治』3巻の挿絵を描いている。一説によると、利信は、宝永6年(1709年)生まれで、寛保3年(1743年)に35歳で没したともいわれる。