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喜多川 月麿(きたがわ つきまろ、生年不明 - 文政13年(1830年))は、江戸時代の浮世絵師。
月麿は、喜多川歌麿の門人。小川千助(または六三郎)といい、名は潤、字は子達(士達)。初名を菊麿(寛政より使用)といい、享和2年(1802年)から喜久麿、文化元年(1804年)から月麿と名乗る。その文化元年、師である歌麿とともに、手鎖に処せられた。また、墨亭、観雪、逎斎などとも号す。
錦絵より、草双紙の挿絵や、肉筆美人画に手腕を発揮している。作品は、月麿落款の頃は、師・歌麿の晩年の画風を追うものが多いが、文化以降は葛飾北斎風となり、観雪落款となると渓斎英泉風の美人画になっている。
代表作として、肉筆美人画の「姫君図」(東京国立博物館所蔵)、「仕掛をなおす花魁図」(浮世絵太田記念美術館所蔵)、「美人図」(京都府立総合資料館所蔵・京都文化博物館管理)が挙げられる。
「姫君図」は、縁先近くの青い畳に立つ、うら若き姫君を描き、遠景には水墨で富士山が描かれているが、特別な意味が込められているのかは明らかでない。容貌は端正ながら唇に笹紅色を差すことで妖艶さも加わり、桜を散らした地に絞りで「春」、「梅」の文字をあしらった春尽くしの打掛は華麗な濃彩で処理されており、月麿の肉筆画の特徴を余すところなく示した作品に仕上がっている。