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喜多川 磯麿(きたがわ いそまろ、生没年不詳)は、江戸時代の浮世絵師。
喜多川歌麿の門人。姓名不詳。享和(1801年 - 1804年)から文政(1818年 - 1830年)期に歌麿風の錦絵の美人画を描いた。
作品は細判の揃物「青楼仁和嘉全盛遊」がよく知られている。そのうち、「名響花道中」は極めて珍しい作例である。
新吉原の年中行事の一つである祭りの催しを青楼仁和嘉といい、普通は手古舞姿やいろいろの扮装を凝らした姿を描いたものが多い中、この図では馬まで引っ張り出している。その馬に乗る女性の髪型からして、享和 -文政期にかけての流行髪型を写していることが判る。また、歌麿の最晩年の画風を模したといえる。
しかし、煙管を手に、手綱を引く馬子に扮した女性の姿態描写は大変しっかりしたもので、踏まえた両足の安定した描写によって人物が生き生きとしている。さらに、着物につけられた大柄の匹田(ひった)絞りも、歌麿が好んで用いたものであり、磯麿が相当優れた手腕の持ち主であったことが一目瞭然である。
なお、同じシリーズに「すずめ踊り」があり、こちらもなかなかの優品である。