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黄雲(こううん、生没年不詳)は、江戸時代後期の浮世絵師。
師系不詳。天明(1781年 - 1789年)から寛政(1789年 - 1801年)期に肉筆浮世絵を描いている。
「合せ鏡図」は、仕立て上がった着物を羽織り、柄の具合を合せ鏡で確認する遊女の姿を描いた作品である。女性の姿態を背後から描き、着物に施された松に鶴の吉祥模様や、襟足の色香を見せるのが本図の狙いであるが、さらに手鏡にその美貌も映るという仕組みになっている。
鏡に映っている遊女の顔貌は勝川春章の画風に近似しており、着物の柄のモダンな感覚を考え合わせれば、幕末・明治期の模古的作品とも推定できる。「黄雲」の落款に、「黄」と「雲」の2つの白文方印が捺されている。