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橘 岷江(たちばな みんこう、生没年不詳)は、江戸時代中期の浮世絵師。
師系不詳。名は正敏。珉江、岷江、玉樹軒、通一居と号す。京都の人で、元は縫箔師であった。初め京都に住んでいたが、後に江戸に移った。
明和2年(1765年)に江戸で大小暦の摺物が流行した時、岷江も若干の制作を試みており、この頃は鈴木春信や西川祐信風の美人画を描いている。
作画期は明和(1764年 - 1772年)から天保(1830年 - 1844年)期に及んでいる。作品としては明和7年(1770年)版行の絵本「彩画職人部類」が挙げられ、これには吹きぼかしを用いて彩色を工夫しており、新機軸を打ち出した。
他に、絵暦摺物「狐の嫁いり」、明和6年(1769年)刊行の洒落本『郭中奇譚』(臼岡先生作)1冊の挿絵、著作として、ともに天保5年(1834年)刊行の雑俳書『折句袖かがみ』1冊、『種芋頭』1冊などがある。
なお、享保15年(1730年)に、将軍徳川吉宗が長崎奉行にビードロの製法を上申しており、明和7年(1770年)刊行の珉江の描いた「彩画職人部類」には、簡単な坩堝を使って、ビードロを吹いている図が描かれている。