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別人 喜多川 歌麿(べつじん きたがわ うたまろ、生没年不詳)は、江戸時代中期の浮世絵師。
喜多川歌麿の門人といわれる。文化(1804年 - 1818年)頃、10余点の肉筆美人画及び若干の錦絵を描いている。初代でも2代でもない、歌麿落款及び印章の肉筆美人画があり、一般的に別人歌麿作と呼ばれている。
払袖、自成弌家の印が見られる。藤懸静也によると、肉筆画に榮文菅原利信筆と署名し、「喜多川」、「自成弌家」の二印を捺した作品があるという。
また、別に、喜多川歌麿筆と署名し、栄文が作品に用いた印と同一の印を捺したものがあり、この2作品を比較すると、全く同一の筆法で、初代二代の筆致とは異なるため、栄文が喜多川歌麿を自称したというべきであるともいう。
栄文と同一人という説もあるが、否定説もある。「ちろり美人図」は、つぶし島田の美人が右手にちろりを掲げて、青地の小袖を着て黒の広巾の帯を大きく後ろに結んで振返る所を描いている。
落款は「喜多川主人哥麿」と記し、「拂袖」の朱文長方印を捺してある。本図は「拂袖」印・東巴人賛のものとしてよく知られているもので、賛者署名の下に「□翁」の長円印を押す。本図は吉田暎二著『浮世絵事典』に写真所収の作品で、軽いタッチではあるが、本来の歌麿が「正銘歌麿」と名乗らざるを得ないだけの出来であったといえる。