東川堂里風

東川堂 里風（とうせんどう りふう、生没年不詳）は、江戸時代初期の浮世絵師。

来歴

姓･皆川、名･不詳。東川堂里風、皆川里風と号す。正徳（1711年-1716年）-享保（1716年-1736年）の頃に、懐月堂派 風の肉筆美人画を描いたが、様式的には、懐月堂派直系の門人とは区別される。

落款には、「大和繪師東川堂里風圖之」や、「大和絵師里風堂菅谷図之」とある場合が多い。里風は、版画は1点も残していないが、彼の署名を有する肉筆の美人画は、ある程度の数が確認されている。大半の作品は、一人立ちの遊女を描いたものであるが、「納涼美人図」（浮世絵太田記念美術館所蔵）のように、床机に座った遊女の姿を描いたものも見られる。

「遊女立姿図」に見られるように、弓なりに反らせた遊女の姿態と、肥痩のある、様式化された描線で着衣を形作り、その中に、大柄な模様を埋めていく手法は、一見すると、懐月堂派を思わせるものであるが、二重瞼で、やや下膨れした遊女の容貌は、懐月堂派とは大きく異なり、宮川長春の作風につながるものといえる。このことから、里風は、懐月堂派より、やや後の享保期に主に活躍したと考えられる。

作品

• 「遊女立姿図」紙本着色 東京国立博物館 所蔵
• 「遊女立姿図」紙本着色 東京国立博物館所蔵
• 「蝶を見る美人図」絹本着色 浮世絵太田記念美術館所蔵
• 「納涼美人図」紙本着色 浮世絵太田記念美術館所蔵
• 「立姿美人図」絹本着色 出光美術館所蔵
• 「立姿美人図」紙本着色 出光美術館所蔵
• 「立ち美人図」紙本着色 光記念館所蔵
• 「梳る女図」絹本着色 光記念館所蔵 日本絵師皆川里風圖の落款
• 「振袖美人図」紙本着色 奈良県立美術館所蔵