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柳月子(りゅうげつし、生没年不詳)は、江戸時代初期の浮世絵師。
師系不詳。姓は守。名は不詳。柳月堂とも号す。出羽国米沢の人かとされる。享保(1716年 - 1736年)年間を中心に元文(1736年 - 1741年)頃まで肉筆浮世絵を専門にして活躍した。
「櫛に手をやる美人図」は表題どおり、櫛に手をやり、髪を直す立ち美人が描かれている。顔は童顔であどけなく、全身のプロポーションもやや頭でっかちで、未だ育ちきらない少女の面影を伝えているようである。白と青のぼかしに白い文字を散らし書きした表着には「清」の字が篆書風に入っており、特定の遊女が描写の対象になっていたと思われる。
この図を見る限りでも、描線は強い打込みや肥痩の抑揚が無く、配色も明るい色面を大らかに布置して、その作風はなかなか品格が高く、好感が持てるものである。なお、落款には「柳月子圖之」とあり、白文と朱文で2文字ずつ彫られた「守一處和」の方印が捺されている。