全国の美術館の情報や絵画・彫刻・アートなど芸術作品と画家・作家の紹介
喜多川 藤麿(きたがわ ふじまろ、生没年不詳)は、江戸時代の浮世絵師。
喜多川歌麿の門人。姓不詳、名は維則。不二麻呂・紅霞斎・紫園・紫峰・紫霞斎・芳州・蓉山・酒仙など数多くの画号をもっていたが、肉筆美人画の落款は、大半が「藤麿」であった。
錦絵や版本の挿絵はほとんど見られないが、寛政-文政期(1789年-1830年)にかけて、肉筆美人画の制作で活躍した。その画風は、師の歌麿風に追随せずに、独自の雰囲気をかもし出している。歌麿弟子入り以前は南画を学んでいたと思われ、他にも窪俊満や歌川豊春との関係や、芸術を愛好した狂歌師らとの交流も指摘されている。
現存作品数は50点ほど。代表作として、肉筆美人画の「遊女立姿図」(東京国立博物館所蔵)、「美人春夏秋冬図」(浮世絵太田記念美術館所蔵)、「見立六歌仙図」(たばこと塩の博物館所蔵)、文政3年(1820年)作画「俄雨図」(ニューオータニ美術館所蔵)、「雨乞小町図」(ニューオータニ美術館所蔵)、「ほととぎすを見る親子図」(千葉市美術館所蔵)、「母子採芒図」(熊本県立美術館所蔵)、「鍬を持つ美人図」(熊本県立美術館所蔵)が挙げられる。なかでも、「見立六歌仙図」は、見立てられた人物6人をそれぞれ写実的に捉えた傑作といえる。