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ギュスターヴ・モロー(Gustave Moreau, 1826年4月6日 - 1898年4月18日)は、フランスの象徴主義の画家である。パリに生まれパリで亡くなった。聖書や神話に題材をとった幻想的な作風で知られる。
印象派の画家たちとほぼ同時代に活動したモローは、聖書やギリシャ神話をおもな題材とし、想像と幻想の世界をもっぱら描いた画家であった。彼の作品は19世紀末のいわゆる「世紀末」の画家や文学者に多大な影響を与え、象徴主義の先駆者とされている。
1826年、パリに生まれた。1846年、エコール・デ・ボザール(官立美術学校)に入学。かたわら、ロマン派の画家テオドール・シャセリオーに指導を受けていた。ロマン派の旗手ウジェーヌ・ドラクロワのアトリエにも出入りし、影響を受けている。ローマ賞を逃すものの1857年9月、私費でローマに留学。留学中の書簡集はフランスで発行されている。(Louisa Capodieci, Gustave Moreau Correspondance d’Italie, Somogy Éditions d’Art, 2002)
1864年、サロン(官展)に出品した『オイディプスとスフィンクス』は、スフィンクスを若い女の姿で描き、伝統的な物語を「男」と「女」の葛藤として描き出した作品で、当時の保守的なサロンでは物議をかもした。その後、モローは次第にサロンから遠ざかり、パリのラ・ロシュフーコー街の屋敷に閉じこもって黙々と制作を続けた。彼が1852年から終生過ごしたこの館は、遺言により「ギュスターヴ・モロー美術館」として公開されている。
1892年、モローはエコール・デ・ボザール(官立美術学校)の教授となった。モローの指導方針は、弟子たちの個性を尊重し、その才能を自由に伸ばすことであった(「私は君たちが渡っていくための橋だ」とモローは語っていたという)。エコール・デ・ボザールのモローの元からはマティスとルオーという2人の巨匠が生まれている。