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アンブロージョ・ロレンツェッティ(Ambrogio Lorenzetti or Ambruogio Laurati, 1290年頃 - 1348年6月9日)は、シエナ派に属するイタリアの画家。1317年から1348年にかけて活動した。兄も画家のピエトロ・ロレンツェッティ。
シモーネ・マルティーニの影響が見受けられるが、アンブロージョの方がより自然主義的である。最も古い日付の作品は『即位した聖母子』(1319年。サン・カシャーノ、司教区博物館)だが、彼の名前がはじめて文書に現れるのは、1321年のフィレンツェにおいてである。シエナ共和国で数年過ごした後、その地に戻ってきたと記されている。
シエナのプブリコ宮殿(現シエナ市役所)の「九頭の間」(「平和の間」ともいう)のフレスコ壁画は、初期ルネサンスの世俗的絵画の傑作の一つである。「九頭」とは共和国を統治するギルドや豪商たちの寡頭政治会議のことである。ここに描かれているのは、まず『善政の寓意』という寓意的有徳者の大会議を描いたもの 。他の向かい合った2つの壁には、『都市と田園における善政の効果』と『悪政の寓意、および都市と田園におけるその効果』がそれぞれ描かれている。保存状態の大変良い『都市と田園における善政の効果』には、平和な中世郊外と田園地方での生活が無数に表され、さながら絵で描いた百科事典のようである。良く絵を見ると、砂時計も描かれていて(外部リンク参照)、それは砂時計の存在を示した最古の証拠でもある。
兄のピエトロ同様、アンブロージョもペストで死んだと信じられている。1348年のことである。ジョルジョ・ヴァザーリはその著書『画家・彫刻家・建築家列伝』の中に、アンブロージョ・ロレンツェッティの伝記も含めている。