荒木淳一
(あらき じゅんいち)
荒木 淳一(あらき じゅんいち、1955年 - )は日本の洋画家。千葉県千葉市出身。愛知大学文学部フランス文学科卒業。
経歴
1955年千葉県千葉市生まれ。洋画家。13歳で油絵を描き始めるが、中学生の頃より自己表現の手段としての文学を志し、1975年4月に愛知大学文学部フランス文学科に入学する。初めは小説家志望だったが、大学在学中に演劇に魅せられ戯曲作家志望に転向する。
1979年愛知大学卒業後ソルボンヌ大学文化学科に留学。パリではシネマテックやシネ・コンプレックスなどで映画三昧の日々を過ごす。小津安次郎、溝口健二、黒澤明、大島渚など日本の映画監督の作品の多くは当時日本映画プームだったパリで観たものだ。また、フランス国内を始めスペイン、オランダ、ベルギー、西ドイツ、オーストリア、スイス、ギリシャなどを旅しそれらの国々の建築や美術、人々の生き方に多大のインスパイアーを受けた。
1981年帰国後本格的に油絵を描き始め、1986年より公募展に出品を始める。1989年より成田禎介の描く風景画に惹かれ日展系の美術団体示現会展に出品、大内田茂士(1990年日本芸術院会員)の知遇を得て1991年より師事する。
1991年に示現会の会友に推挙され同人となるが、1994年師 大内田茂士の没後の第47回示現会展出品を最後に同会を退会し無所属となる。
1992年の初個展以来、馴染み深いパリ風景とポルトガルの風景が主なモチーフだったが、1996年1月の浦和伊勢丹での展覧会以降「イタリアの風と光」「イタリア 煌めく光の中で」「イタリアの空と大地」などイタリア風景を中心とした展覧会が開催されるようになる。
1995年ギャラリーGKでの展覧会に、欧州風景を和洋折衷したような柔らかい風合いで表現したオイルオンペーパーの作品が始めて発表された。
1996年~1997年評論家種村季弘のプロデュースにより西武百貨店5会場で展覧会が開催される。
2001年「日本におけるイタリア年2001」に因んで「イタリア2001年の旅」と題された展覧会がイタリア文化会館(イタリア大使館文化部)の後援により、4月の高岡大和を皮切りに2002年7月の大宮そごうまで全国23会場で開催された。
2007年の弘前中三より「黒猫のいる風景」が発表される。その後2009年沖縄リウボウでの展覧会よりオイルオンペーパーで描かれた作品にシリアルナンバーが付され、黒猫のいる風景「黒猫百景」シリーズが始まった。
人物
- フランス留学から帰国後、本格的に絵を描き始めたが、30代半ばまではシステムエンジニアの仕事をしていた。
- 演劇的な要素を大切にし「人がホッとするような絵を描きたい」と語る荒木氏。その作風はイタリア、フランス、ポルトガルを中心とした南欧の明るい風景画に描き出されている。
- 自身で食べ歩きのブログを持つほどのラーメンフリークである。
- 1960年代の東映フライヤーズ時代からの熱烈な日本ハムファイターズファンである。
活動
主な出品・受賞歴
- 1987年 ローマン派美術協会展 出品(~'89年)・会友推挙
- 1988年 ローマン派美術協会展 「坂のある風景」にて地球人賞 受賞・会員推挙
- 1989年 示現会展 出品(~'94年)
- 1991年 示現会展 会友推挙
- 2000年 新作家美術協会展 招待出品
主な展覧会
個展
- 1992年 京橋・アートギャラリー京ばしにて個展('93,'94年)
- 1994年 「碧い額縁の中の繪のように」 表参道・ギャラリー華音留にて個展
- 1994年 丸の内・ぎゃらりー友美堂にて個展('95年)
- 1995年 大分トキハにて個展('06年)
- 1995年 銀座・牧神画廊にて個展
- 1995年 日本橋東急にて個展('96,'97年)
- 1995年 「エトランゼ」 銀座・ギャラリーGKにて個展
- 1995年 「海を見ていた午後」 表参道・ギャラリー華音留にて個展
- 1996年 銀座・画廊春秋にて個展('97年)
- 1997年 千葉三越にて個展('98,'99,'00,'01,'03年)
- 1997年 フィレンツェ・ガレリアDEAにて個展
- 1997年 プランタン銀座にて個展
- 1997年 仙台三越にて個展
- 1998年 名古屋三越にて個展('00,'02,'04,'06,'08,'10年)
- 1998年 「プロヴァンスの風に吹かれて」 新宿・ギャラリートーニチにて個展
- 1998年 香林坊大和にて個展('00,'05年)
- 1998年 「荒木淳一'S GARDEN」表参道・ギャラリー華音留にて個展
- 1999年 千葉市花の美術館にて個展
- 1999年 岡山天満屋にて個展
- 2000年 豊橋丸栄にて個展('02,'04,'06,'08,'09年)
- 2001年 岐阜高島屋にて個展('03,'05,'07,'10年)
- 2001年 米子高島屋にて個展('03,'05,'07,'10年)
- 2001年 松山三越にて個展('03,'05年)
- 2001年 梅田大丸にて個展
- 2001年 佐野・ギャラリーファンタジアにて個展
- 2002年 青山・ピガ画廊にて個展
- 2002年 下関大丸にて個展
- 2002年 鹿児島山形屋にて個展('05,'07年)
- 2002年 高崎高島屋にて個展('04,'08年)
- 2002年 鳥取大丸にて個展('04,'06,'07,'08,'09年)
- 2003年 神戸大丸にて個展 ('05,'08年)
- 2003年 横浜高島屋にて個展
- 2003年 博多大丸にて個展('05,'07,'09年)
- 2004年 沖縄三越にて個展('05,'06,'07,'08年)
- 2004年 広島三越にて個展('06,'08,'10年)
- 2005年 大阪高島屋にて個展('08,'10年)
- 2006年 松江一畑百貨店にて個展('08,'10年)
- 2007年 松山いよてつ高島屋にて個展('09,'10年)
- 2007年 酒田清水屋にて個展('08,'09,'10年)
- 2009年 沖縄リウボウにて個展('10年)
- 2010年 長崎大丸にて個展
- 2010年 佐賀玉屋にて個展
- 2010年 京都大丸にて個展
- 2010年 岡山高島屋にて個展
グループ展
- 1994年 「'94 さまざまなる歌」(井上公三、小浦昇、望月通陽、山中現 他)赤坂・山の上ギャラリー
- 1996年 「爽風会展」(蛭田均、大見伸、掛川孝夫、丸山勉、大竹山規、滝沢直次 他)丸の内・ぎゃらりー友美堂
- 1996年 「彩の国さいたま ゆかりの作家絵画展」(小松崎邦雄、斉藤三郎、智内兄助、石原靖夫、内田晃 他)川口そごう
- 1997年 「彩の国ゆかりの作家絵画展」(黒沢信男、徳田宏行、滝沢直次、島根清 他)大宮そごう
- 1999年 「カラリスト展」(赤穴宏、大沢昌助、織田廣喜、神戸文子、草間彌生、田村孝之介 他)京橋・金井画廊
主な作品
欧州風景
- 1999年 プチカナルの朝(65.2X33.4㌢)
- 2000年 サンジョルジュの丘(F20)
- 2001年 二人の尼僧(M30)
- 2002年 ペルージャ(33.4X72.7㌢)
- 2003年 ゴンドリエ(65.2X33.4㌢)
- 2006年 ベネチアの運河(33.4X72.7㌢)
- 2007年 シエナ(27.3X60.6㌢)
- 2008年 フィレンツェ(72.7X145.5㌢)
- 2009年 プロバンスの風に吹かれて(F20)
- 2010年 サンマルタン運河の朝(33.4X65.2㌢)
- 2010年 西教会の見える風景(P10)
- 2010年 窓からローマが見える(27.3X60.6㌢)
ベネチアのサラシリーズ
ベネチアの街角を舞台に、至福の時の象徴としての少女(サラ)と旅人(作者自身)または旅人の視線(作者自身の視線)が描かれている。1997年より制作されているシリーズである。
- 2000年 ベネチアのサラ(72.7X33.4㌢)
- 2001年 ベネチアのサラ(M8)
- 2001年 ベネチアのサラ(P12)
誕生花
一年365日のその日ごとに定められた誕生花を描いた作品を2010年より制作している。
オイルオンペーパー
洋紙に油絵の具を用いて、キャンバスに描くのとは違った自由な形と浮世絵のような風合いのオイルオンペーパーの作品を1995年より制作している。
欧州風景
- 2000年 フィレンツェ(20X80㌢)
- 2002年 SEASIDE WEEKEND(15X50㌢)
- 2003年 ベネチアの夕暮(12X36㌢)
- 2007年 リンツ郊外の雪景色(17X25㌢)
黒猫のいる風景シリーズ
世界の街角を舞台に、神の使いと言われる黒猫が描かれたシリーズで 2009年に10作、以後は毎年新作が5作程度発表され2027年には100作「黒猫百景」が完結される予定である。
作品は1作につき100点づつそれぞれにシリアルナンバーが付されて制作されている。 但しシリーズ化される前の作品には下記以外のサイズもあり、またシリアルナンバーは付されていない。
- 2009年- 1 黒猫のいる風景・フィレンツェ(5X5㌢)(8X8㌢)
- 2009年- 2 黒猫のいる風景・大きな月を招く猫(ベネチア)(5X5㌢)(8X8㌢)(8X10㌢)(10X15㌢)
- 2009年- 3 黒猫のいる風景・月についている猫(5X5㌢)(8X8㌢)(8X10㌢)(10X10㌢)
- 2009年- 4 黒猫のいる風景・パリ(10X15㌢)
- 2009年- 5 黒猫のいる風景・コインブラ(5X5㌢)(8X8㌢)
- 2009年- 6 黒猫のいる風景・大きな月を招く猫(ベネチア)(5X15㌢)
- 2009年- 7 黒猫のいる風景・ベネチア(15X5㌢)
- 2009年- 8 黒猫のいる風景・ゴンドラの上の猫(15X5㌢)(17X6㌢)
- 2009年- 9 黒猫のいる風景・サンチャゴ・デ・コンポステーラ(8X6㌢)
- 2009年- 10黒猫のいる風景・真実の口(5X5㌢)
- 2010年- 11黒猫のいる風景・モンマルトル(8X8㌢)
- 2010年- 12黒猫のいる風景・リスボンの窓辺(10X15㌢)
- 2010年- 13黒猫のいる風景・エボラ(10X10㌢)
- 2010年- 14黒猫のいる風景・アッシジ(8X8㌢)
- 2010年- 15黒猫のいる風景・プロバンス(5X5㌢)
版画
- 2007年 フィレンツェ(33.4X72.7㌢)を200部制作。
その他
カレンダー
- 2000年 川口信用金庫カレンダー画担当
- 2001年 川口信用金庫カレンダー画担当
- 2002年 川口信用金庫カレンダー画担当
- 2002年 (株)セノンのカレンダー画担当
- 2003年 川口信用金庫カレンダー画担当
- 2004年(株)セノンのカレンダー画担当
- 2008年 川口信用金庫カレンダー画担当
年賀状
2010年以降2027年まで年賀状には『黒猫のいる風景』シリーズを使う予定である。
- 2010年 黒猫のいる風景・サンチャゴ・デ・コンポステーラ
- 2011年 黒猫のいる風景・エボラ
荒木淳一の作品所蔵美術館