後藤仁
(ごとう じん)
後藤 仁(ごとう じん、1968年 - )は、平成時代の日本画家。古代の技法を活かした手法により、アジアや日本各地に取材した美人画、風景画などを手がける。師系は後藤純男。
概要
兵庫県赤穂市生まれ。小学校1年生の時に大阪府堺市に移る。小中学生の頃は、水彩・アクリル絵具による空想画を多く描く。15歳の時、美術高校にて油彩画・彫塑・デザイン・製図・デッサン等とともに日本画を学び、高校2年生で日本画を専攻する。この子供時代に、岡本太郎が審査員長をつとめる絵画コンクールで佳作受賞、その他、各種絵画公募展での入選・受賞は14回に及ぶ。
高校卒業後は東京に上京し、美術予備校で村上隆らに、デッサン・着彩を学ぶ。21歳で東京藝術大学日本画専攻に入学。大学3年生より金唐革紙(きんからかわし。手製高級壁紙のこと)の復元製作を始め、以後10数年間に重要文化財建造物等の復元製作に携わり、この技術も日本画制作に取り入れる。(現在3名しかいない金唐革紙製作技術保持者の一人でもあり、後に金唐革紙保存会を主宰する。)東京藝術大学の卒業制作は、インドネシアのボロブドゥール遺跡に取材した「昇殿」(F150号)。
大学卒業後は後藤純男に師事して、日本画家として活動。初期は国内外に取材した、古代遺跡、自然の光景等の雄大な風景画や野の花を多く描く。1998年頃より「アジアの美人画」をテーマに、アジアや日本の伝統文化・舞踊等に取材した人物画を中心に描く。
特長としては、作家独自の鋭く繊細な鉄線描(てっせんびょう。法隆寺金堂壁画等に見られる技法)、幻想的・物語的な空間表現、中国の少数民族や各国の民族衣装の華麗な色彩表現や、人物の心を表出した目の描写の強さ等が挙げられる。また、アジア各国や日本各地での単独取材旅行を多く行なう。
現在、千葉県松戸市にアトリエをかまえ、「アジアの美人画」を中心画題として描く他、風景画や花鳥画などの小品も描く。また、アジアの民話を元にした絵本の制作等、日本画を軸とした様々な絵画表現を探求している。
代表作品には、「天国の扉─Heavenly gates─」シリーズ(200号変形他)、「曙光さすアンコール・ワット」(P60号)、「舞姫シータ(インド舞踊)」(変形140×70cm)、「妙なる国の少女(バリ島)」(F50号)、「クマリ─The Living Goddess─(ネパール)」(F50号)、「美粧(浅草芸妓)」(F40号)、「美しき村─Beautiful village─(ベトナム・花モン族)」(F30号)、「彩帯舞(中国ミャオ族)」(F30号)、「幸福の夜明け(スコータイ)」(F25号)、「トン族琵琶歌(中国貴州省)」(P25号)、「淡墨の桜(岐阜県根尾谷)」(F30号)など。
画歴
- 1968年 兵庫県赤穂市生まれ。伯父はからくり人形師の後藤大秀。祖父は指物大工。
- 1983年 「全国都市緑化フェア図画コンクール」大阪府知事賞。
- 1984年 「太陽の日記念絵画コンクール」(審査員長は岡本太郎)佳作。「旺文社主催全国学芸科学コンクール デザイン部門」旺文社賞(銀賞)。
- 1986年 「児童生徒美術展」(ビクトリア国立美術館/オーストラリア)。
- 1988年 大阪市立工芸高等学校美術科を首席で卒業。美術予備校の立川美術学院にて村上隆に学ぶ。
- 1995年 国重要文化財建造物等「金唐革紙」復元製作。以降、入船山記念館(呉市)、移情閣(神戸市)、旧岩崎邸(台東区)等の復元を手がける。ジャワ島・バリ島写生旅行、中華人民共和国写生旅行。
- 1996年 東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業。後藤純男門下による「翔の会日本画展」(銀座松坂屋)に参加。以後2010年まで毎年開催。
- 1997年 イタリア写生旅行。
- 1998年 NHK大河ドラマ「元禄繚乱」障壁画制作。
- 2000年 千葉銀行2000年度カレンダー作品採用。「三渓日本画賞展2000」入選(横浜三渓園)。
- 2002年 「新生展」入選(新生堂/東京南青山)。「北の大地展」佳作(北海道)。
- 2004年 個展(新樹画廊目白)にインド大使夫妻、バチカン市国大使を招待。インド写生旅行。
- 2005年 タイ王国・カンボジア写生旅行。「名士寄贈書画工芸作品展」(毎日新聞主催。心斎橋大丸、のち毎日新聞ビル)以後毎年出品。
- 2006年 ちばテレビ「ニュースC-MASTER」にて個展取材・特集放映。「金唐革紙保存会」を主宰し、金唐革紙の製作技術保存・展示に努める。
- 2007年 ベトナム写生旅行。NHK「にっぽん心の仏像」アトリエ取材・放映。「金唐革紙展」(大英博物館、ヴィクトリア&アルバート美術館/イギリス)。
- 2008年 中国(貴州省)写生旅行。後に取材を元にした絵本を福音館書店より出版予定。
- 2009年 ネパール・タイ王国写生旅行。「F展」大阪市立美術館館長奨励賞(大阪市立美術館)。
- 2010年 NHK「日曜美術館(遣唐使・美の遺産)」取材協力・放映。
その他
- 日本画個展・グループ展、金唐革紙展、開催多数(東京都美術館、大阪市立美術館、大英博物館、ヴィクトリア&アルバート美術館、紙の博物館、旧岩崎邸庭園、銀座松坂屋、上野松坂屋、池袋東武、船橋東武、沼津西武、京葉銀行本店、ちばぎんアートギャラリー日本橋、ギャラリーアートサロン、ギャラリーマークウェル、ギャラリートーニチ新宿、ギャラリー銀座、オンワードギャラリー日本橋、新生堂、他)。
- 各種絵画公募展 入選・受賞20回。
- 日本画作品収蔵先には、東京藝術大学、大阪市立工芸高等学校(大阪市帰属)、八幡山宝蔵院天井画(埼玉県)、普門院(栃木県)、他。金唐革紙作品収蔵先には、大英博物館、紙の博物館、旧岩崎邸庭園、入船山記念館、移情閣、他。
- NHK文化センター(柏教室)の「日本画講座」「鉛筆デッサン講座」や、読売・日本テレビ文化センター(柏・金町・北千住・町屋)の「美人画講座」「水彩画講座」などの講師を務める。
- NHKBSハイビジョン「にっぽん心の仏像」(2007年8月13日放送)、NHK「日曜美術館(遣唐使・美の遺産)」(2010年5月2日放送)、NHK「首都圏ネットワーク」(旧岩崎邸特集、2003年7月1日放送)、ちばテレビ「ニュースC-MASTER」(饗宴~後藤仁美人画展特集、2006年11月1日放送)、テレビ東京「世の中ガブッと!」(建物再生特集、2003年5月4日放送)、JCN千葉(2008年3月放送)、JCNコアラ葛飾(2010年1月27日放送)、J:COM東関東(2008年9月放送)などのテレビ番組で紹介される。
後藤仁の作品所蔵美術館