大和文華館

大和文華館は、奈良県奈良市にある、東洋古美術を中心とする私立美術館である。1960年、近鉄の創立50周年行事の一環として開館。

所蔵品は観賞価値を第一にした名品が集められた。ある時代や地域の美意識を代表する名品が、まんべんなく集められていることが大和文華館の特徴の一つである。収集した作品には国宝 4件、重要文化財 31件を含んでいる。

なお、国宝の寝覚物語絵巻一字蓮台法華経をはじめとする名品の多くは、横浜の三渓園の生みの親である原富太郎(原三渓)のコレクションにあったものである。

所蔵品には中国、朝鮮半島、日本を中心とした東洋古美術の名品約二千点のほかに、中村直勝収集の双柏文庫、近藤家旧蔵の富岡鉄斎書画、鈴鹿文庫等が含まれる。これらは年に7回の館蔵品を中心とする企画展で順次公開される。また年に1回程度の特別展が行われる。

展示館

大和文華館 展示館

大和文華館の展示館は、奈良市の西の郊外の静かな住宅地のなかにある。菅原池(通称、蛙股池)に面した丘の上に、赤松の古木と「文華苑」と呼ばれる自然苑に囲まれて建つ。

展示館は日本芸術院会員の建築家吉田五十八の代表作の一つで、城郭や蔵をイメージさせる「なまこ壁」をモチーフとして取り入れている。

展示室は、竹の植えられた中庭をめぐって配置されており、バルコニーからは遠く春日山や平城京を望むことができる。このため「竹の庭の美術館」とも呼ばれて多くの人に親しまれている。

文華ホール

大和文華館 文華ホール

明治42年に建設された辰野金吾設計の奈良ホテルのラウンジを開館二十五周年記念事業の一つとして移築修復し、ホールとして活用している。

文華苑

美術館の周囲は文華苑とよばれる自然園になっており、梅林(2、3月ごろ)、三春の瀧桜(4月上旬)、ササユリ(5月頃)、アジサイ(6~7月)、スイフヨウ(9月)、萩(11月頃)、サザンカ(12月頃)、ロウバイ、椿(1月~2月頃)と、四季を通じての花が楽しめる。

大和文華館
名称
大和文華館(やまとぶんかかん)
開館時間
10:00−17:00 (入館は閉館の1時間前まで)
休館日

月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、翌平日を休館)
年末年始、展示替期間

TEL
0742-45-0544
FAX
0742-49-2929
関連サイト
公式サイト(外部リンク)
入場料

平常展
一般 600円(540円) [高校、大学生含む]
小学・中学生 300円(270円)

特別展
一般 900円(810円) [高校、大学生含む]
小学・中学生 450円(405円)

※( )内は20名以上の団体割引、引率者1名無料

所在地
〒631-0034
奈良県奈良市学園南1丁目11番6号

大和文華館 展示品

国宝

  • 絹本著色帰牧図(騎牛)李迪筆(附:絹本著色帰牧図 牽牛)
  • 紙本金地著色風俗図(六曲屏風一双)(松浦屏風)
  • 紙本著色寝覚物語絵巻
  • 紙本着色一字蓮台法華経(普賢勧発品)

重要文化財

垂迹画

  • 絹本著色笠置曼荼羅図
  • 絹本著色伝柿本曼荼羅図
  • 絹本著色日吉山王宮曼荼羅図

大和絵

  • 紙本著色三十六歌仙切(小大君)佐竹家伝来
  • 紙本白描源氏物語絵(浮舟巻残巻)

水墨画

  • 紙本墨画山水図 六曲屏風 伝周文
  • 紙本墨画竹雀図「可翁」の印あり
  • 紙本墨画呂洞賓図 雪村
  • 紙本著色雪村自画像 自題がある
  • 紙本墨画花鳥図 雪村筆 六曲屏風
  • 紙本墨画維摩居士像 文清筆 長禄元年祖黙賛

近世日本絵画

  • 絹本著色中村内蔵助像 尾形光琳
  • 紙本著色婦人像

中国絵画

  • 絹本著色萱草遊狗図 伝毛益
  • 絹本著色蜀葵遊猫図 伝毛益
  • 絹本墨画淡彩山水図(秋塘図) 伝趙令穰

陶磁

  • 高麗青磁九龍水瓶
  • 染付山水図大鉢 伊万里

金工

  • 金銅蓮華形磬
  • 銅板地花鳥螺鈿説相箱

その他工芸品

  • 群鹿蒔絵笛筒 伝本阿弥光悦
  • 著色画扇面貼付手筥 尾形光琳
  • 木製彩画乱筥 尾形乾山
  • 籬菊蒔絵机(まがききくまきえ つくえ)
  • 刺繍五髻文殊像掛幅(ししゅう ごけいもんじゅぞう かけふく)
  • 藤花鹿図太刀金具(冑金、石突、表目貫欠)

書跡典籍

  • 虎関師錬墨蹟 与中洞禅人法語
  • 大慧宗杲(だいえそうこう)墨蹟 無相居士像賛(絹本)
  • 常暁請来目録

考古資料

  • 埴輪鷹狩男子像 群馬県佐波郡境町(現伊勢崎市)出土
  • 埴輪男子立像 茨城県結城郡八千代町出土

展示画家(大和文華館)